【リーダー・管理職向け】部下に「成長のエンジン」をつくる効果的なコーチングとは?

人材開発や組織変革の有効な手段として活用される「コーチング」をご存知でしょうか。

今は変化が激しく、スピードが求められる時代。
マネジメントの軸を固定的な「評価面談」から、「1対1」の面談にシフトする企業も増えているといいます。

ビジネスの基本は、メンバー同士の「良質なコミュニケーション」であることは誰もが知るところですが、相手の意欲を引き出し、組織の目標達成に繋げるための効果的なコーチングの手法を体得している人はまだそう多くありません。

本記事では、2009年の発行から約10年、業界内外から高評価を受けベストセラーを続けるコーチングの実践的入門書である『この一冊ですべてわかる コーチングの基本』(日本実業出版社)より、『コーチングとは何か』『コーチングの6つの基本ステップ』をご紹介したいと思います。

出典:『この一冊ですべてわかる コーチングの基本』, 日本実業出版社

コーチングとは

コーチングの定義

『この一冊ですべてわかる コーチングの基本』によると、コーチングとは以下のように定義されます。

コーチングとは、対話を重ねることを通して、相手が目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセスである。

ここで重要なのは、コーチはあくまで支援者であり、目標設定や達成の主導権はコーチを受ける人であるということです。
上司が部下に変わって目標をつくったり、仕事を代わりにやってあげることはコーチングとは呼びません。

何のためにコーチングを行うのか

コーチングの特徴である、「傾聴」や「質問」が着目され、しばしば人を動かすためのテクニックとして用いられたりしますが、あくまでそれらは手段です。

コーチングの目的は、「相手(クライアントや部下)の目標達成を支援すること」。
コーチングの手法を扱う人によってその効果が違うのは、コーチ自身がきちんと目的を理解した上でコーチングを行っているか否かという違いです。

「わたしは何のために、コーチングを行うのか」という問いを大切にされることをおすすめします。

6つの基本ステップ

以下の①〜⑥までのステップは、どれも欠くことのできない重要なものですが、その中でもステップ②、③、④は繰り返し行われます。

また、①〜⑥は便宜上の順番であり、正しい順序や回数は存在しません。
例えば、ステップ③の現状の明確化の後に、ステップ②の目標の明確化を行い、またステップ③に戻ってギャップをより明確にするなど、柔軟に分析をすることで、目標達成に近づくことができるでしょう。

① セットアップ

コーチングを始めるための準備にあたるのが「セットアップ」です。コーチであるあなたと相手との信頼関係の構築に始まり、コーチングの進め方に関する合意の形成などを行います。そして、相手が何をテーマにコーチングを受けたいと思っているのかをヒアリングし、コーチングをスタートさせる準備を整えます。

② 目標の明確化

相手がコーチングの期間を通して達成したい目標を具体化するのが「目標の明確化」です。コーチングはここで明確化された目標を達成するために実施されるわけですから、このステップが終わらなければ本当の意味でコーチングがスタートしたとはいえません。序盤のもっとも重要なステップだと考えられるでしょう。

目標の明確化を行う質問の例

  • このコーチングであなたが達成したい目標は何ですか?
  • 何のためにその目標を達成したいのですか?
  • 目標を達成することで何を手に入れることができますか?
  • 目標の達成度合いを計測する基準は何ですか?

    ③ 現状の明確化

    相手が設定した目標に対して、相手の現状について分析を行うのが「現状の明確化」です。目標に対する現状が正確に把握できてはじめて、双方の間に存在するギャップに気づくことができます。このステップに失敗するということは、現在地がわからないまま地図を広げ、やみくもに目的地に向けて歩を進めることと同じです。

    現状の明確化を行う質問の例

  • 目標が達成された状態を100点だとすると現状の点数は何点ですか?
  • 目標達成に向けてこれまでに取り組んだこと、現在取り組んでいることはありますか?
  • 取り組んだ結果、これまでにどんな変化や進展がありましたか?
  • 現在あなたが取り組んでいることに対して、あなたのステークホルダー(利害関係者)はどんな評価をしていますか?

    ④ ギャップの原因分析

    設定した目標が達成できていない背景や理由について分析を行うのが「ギャップの原因分析」です。目標が達成できていない原因さえわかってしまえば、自ずと何をするべきかわかってきます。あとは原因を乗り越えるための行動計画を立て、それを実行すればよいのです。ステップ②、ステップ③、そしてこのステップ④の3つのステップを相手に繰り返し考えさせることでコーチングは進んでいきます。

    ギャップの原因分析を行う質問の例

  • 目標と現状の間にギャップが生じている原因は何ですか?
  • 目標を達成するためにあなたが変えなければならない習慣は何ですか?
  • 目標の達成を妨げているあなた自身の課題は何ですか?
  • あなたのステークホルダーが認識している課題は何だと思いますか?

    ⑤ 行動計画の作成

    浮かび上がったギャップの原因を解消し、目標の達成に向けて前進するためのアクションプランを練るのが「行動計画の作成」です。ここで計画する行動の積み重ねが目標への着実な前進へとつながります。一足飛びに目標を達成するような行動、課題解決のための絶対的に正しい行動を計画しようとすると、かえってアイデアは浮かびにくいものです。コーチであるあなたは「少しでも、一歩でも前進するためにできること」というスタンスで、相手から生まれる行動のアイデアを数多く引き出します。

    行動計画の作成質問の例

  • さっそく今日からはじめられる行動、やめられる行動は何ですか?
  • その行動をいつ、どこで、誰に対して実行しますか?
  • その行動をさらに効果的にするために工夫できることは何ですか?
  • 次回のコーチングまでに達成することは何ですか?

    ⑥ フォローアップ

    ステップ⑤で作成した行動計画を実行に移すと、目標に向けて前進することもあれば、思うようにいかずに後退や回り道を余儀なくされることも多々あります。そこで、随時、行動計画の修正と改善を支援しながら相手が目標を達成するまでをサポートするのが「フォローアップ」です。
    結局フォローアップでは、上記の①〜⑤のステップを繰り返し行います。以下はフォローアップ(≒毎回のコーチングセッション)で繰り返される代表的な質問の流れです。

    フォローアップでの質問の例

  • 目標達成に向けて、今日のコーチングでは何をテーマとして扱いたいですか?(セットアップ)
  • 前回立てた行動計画を実施してみてどうでしたか?(現状の明確化)
  • 次のセッションまでにどこまで前進したいですか?(望む未来の明確化)
  • そのために解決しなければならない課題は何ですか?(ギャップの原因分析)
  • その課題を乗り越えるために取るべき行動は何ですか?(行動計画の作成)

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。

    米国の著名な心理学者であるカール・ロジャース氏は、「人間には自己実現する力が自然に備わっている。カウンセリングの使命は、この成長と可能性の実現を促す環境をつくることである」という言葉を残したことで知られています。

    コーチングの基本もまた、相手自身に宿る「成長する力」を信頼することが要であるといえるでしょう。

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