褒めるべき?叱るべき?心理学で立証された部下の上手な育て方

あなたは後輩や部下に対して、褒めることの方が多いでしょうか、それとも叱ることの方が多いでしょうか。

部下の能力や熱意を育てるにはどちらの方が良いのか? という議論は長く続いていますが、
実は、心理学の世界では「褒めて伸ばす」方が効果が高いとされています。

また、ただ褒めるのではなく、「あること」を意識することでより高い効果を発揮できるといいます。
今回は、心理学で立証された「部下の上手な育て方」と、「褒める際に忘れてはいけないポイント」をご紹介したいと思います!

※出典:『使える心理学』(KADOKAWA)

やる気はどこから生まれるのか

ハーロックの賞罰実験

発達心理学者のエリザベス・ハーロックは、1925年に「やる気」について実験を行いました。

ハーロック博士は、子どもたちを以下の三つのクラスに分けて、5日間にわたって計算テストをさせました。
そして、答案を返す際の教師の態度を以下のように分類しました。

1)点数に関わらず、できたところを褒める「称賛クラス」
2)点数に関わらず、できていないところを叱る「叱責クラス」
3)点数に関わらず、何も言わない「放任クラス」

その結果、「称賛クラス」が5日間続けて成績が上がり、
「叱責クラス」は3日間は成績の向上が見られたもののそのあと失速。
「放任クラス」は初めのうちだけ成績が向上が見られただけで、そのあと大きな変化はなかったといいます。

出典:創元アーカイブス

ここで証明されたのは、「人は褒められた方が成果が出る」ということでした。

この効果はのちに、「エンハンシング効果」と名付けられ、教育、ビジネス、スポーツなどの分野で様々な効果をあげることになりました。

エンハンシング効果…
他人から褒められることで、自発的なやる気が向上するという効果。英語では「enhancing effect」と表記し、日本語ではエンハンシング効果と訳される。

モチベーションの二つの源泉

仕事だけでなく、勉強や運動など、あらゆる課題への取り組み方は、私たちの「やる気」「動機」に大きく左右されます。
そして、やる気を起こす要因は、「外発的モチベーション」「内発的モチベーション」の二つに大別できるといいます。
(出典:BizHint)

外発的モチベーション
強制や懲罰、評価、報酬などが要因となって動機付けられることです。職場環境や上司など外部から受ける要因がきっかけで行動を起こすのが特徴です。

内発的モチベーション
物事に興味や関心を持つことで意欲が沸き起こり、達成感や満足感、充実感を得たいという、人の内面的な要因によって動機付けられることです。人の内面で自発的に沸き起こる要因によって行動を起こし、持続することが特徴です。

一般的には、内発的モチベーションの利点は「持続性があること」、欠点は「効果が現れるのに時間を要する可能性があること」であり、
外発的モチベーションの利点は「短期間で効果があらわれること」、欠点は「自主性や持続性がないこと」であると言われています。

しかし現代は、高度成長期のようなトップダウンの経営手法よりも、社員の自主性や多様性が重んじられる時代でもあります。
長期的には会社も社員もより良くなるいう意味では、社員の内発的なモチベーションを育てた方が、効果的であるといえるのではないでしょうか。

そして、内発的モチベーションを育む最良の方法の一つが「褒める」ことなのです。

褒める際に注意すべきポイント

褒め方が与える影響


スタンフォード大学の心理学教授であるキャロル・S・ドゥエック博士は、数百名の子どもたちを対象に、ある問題を解かせ、二つのグループに分けました。
一つのグループは「能力」を褒め、もう一つのグループは「努力」を褒めたのです。

グループ分けをした時点では、両グループの成績に違いはありませんでしたが、
子どもたちに、新しい問題を見せて、「新しい問題に挑戦するか」「同じ問題をもう一度解くのか」、どちらかを選ばせるという実験を行ったところ、二つのグループの間で、明確に違いが現れたといいます。

能力(頭の良さや得意な分野)を褒めたグループは、新しい問題を避け、同じ問題を解こうとする傾向が強くなりました。
ボロを出して自分の能力を疑われるかもしれないことは、いっさいやりたがらなくなったといいます。

一方で、努力を褒められた生徒たちは、その9割が、新しい問題にチャレンジする方を選び、学べるチャンスを逃さなかったそうです。

私たちはこの実験から、「能力は褒めずに、努力を褒めるべきだ」という結論に結びつけてしまいがちですが、
能力を褒めることで、当人が自らの能力を前向きに捉えるきっかけになったり、自分の強みに気づくこともあるので、「能力を褒めること」を完全否定はできません。

大切なのは、「褒めたあと、相手にどんな影響を与えるかを考えて褒めること」ではないでしょうか。

こんな褒め方はNG!

  • 他人と比較して褒める
  • 「Aさんは全然だめだったのに、君はすごいね」などと、他人と比較された上で褒め言葉を伝えられても、言われた本人は喜びにくいものです。褒められたことを喜ぶ前に、「自分もどこか別の場所では悪口を言われているかもしれない」と、不信感を生んでしまう原因にもなりかねません。

  • 本当は思っていないのに褒める
  • 普段から人の粗探しをしたり、弱点が見えてしまう人がいきなり褒めようと思っても難しいでしょう。表情や言葉尻から、本心で話しているか、言葉だけで話しているかは無意識に伝わってしまいます。無理に褒める前に、その人に「感謝できるポイント」を見つけてみるといいかもしれません。

  • 褒めるだけで終わる
  • 人は、同じことを続けていると慣れるという習性をもっています。それと同じように、褒められ続けているとそれに慣れてしまいます。褒める事と同時に、場合によっては改善点も伝えてみましょう。数字を使ってみたり、「ここをこうしたらもっと良くなるんじゃないかな?」というように具体的に伝わるように工夫してみるのはいかがでしょうか。

    理想的な褒め方

  • 堂々と褒める
  • しっかりと相手の目を見て、「○○さんはこういう点が素晴らしいね」と、笑顔で言われて気分を害する人はいないでしょう。思ってもいないことや、相手を利用しようとして褒めてもどこかで伝わってしまうものです。日本人は褒められ慣れていない方が多いので、褒められたことを反射的に否定されることもあるかもしれませんが、自分が相手の良い点に気づいているということが伝われば十分でしょう。

  • 外面よりも内面を褒める
  • 所属している会社や経歴、身につけているものを褒めても、その人自身を褒めていることにはなりません。例えば、相手の外見をほめたいときは、服のコーディネートや髪型など、外面の条件「そのもの」をほめるのではなく、「○○さんはほんとセンスがいいね」など、相手の内面の個性を褒めるのが良いでしょう。

  • 否定語よりも肯定語を使う
  • 「●●しない」「●●ではない」などの否定語は、脳が理解しにくいと言われています。例えば、「初めてのプレゼン、失敗しないで良かったね」と言われるよりも「初めてのプレゼンが成功して良かったね」と褒められる方が効果的です。前者は「失敗するかもしれないと思われていたのかも」というネガティブな印象が残ってしまう可能性がありますが、後者はプレゼンでうまく話せていたことを褒めてもらえたという印象を与えることができます。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。

    上司や経営者、マネージャーなど、人の成長を促す役割をもつ人としてはメンバーや部下に、学ぶ事が好きな人になってほしいと思う方が大半ではないでしょうか。
    さらに、先の読めない今の時代に生きる中で、自分の生き方を自分で切り開いていけるように育てたいと思っている方も多いでしょう。

    明日から、社員やメンバーとコミュニケーションを取る時には、相手の能力よりも努力を見つめ、積極的に褒めることを試してみてはいかがでしょうか。

    本記事、本サイトが、自立した社員を育てることについてお悩みの方の一助になれば幸いです。
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