なぜ、マネジメントに「強み分析」が必須なのか?社員のための分析ツールも紹介

「あなたの強みは何ですか?」

こう聞かれて、あなたは何と答えますか?
すぐに答えられた方は、少ないのではないでしょうか。

「社員の長所を引き出すことが大切だ!」
「自分の強みを見つけよう」
「弱みではなく、強みを伸ばそう」…etc.

ビジネス以外でも、私たちは様々なシーンで「強み」が大切だということを聞かされます。
ですが、そもそも、なぜ「強み」を知ることが大切なのでしょうか。

今回は、「強み」が経営やマネジメント、日々の仕事の中で大切な理由と、社員の強みを知る上でオススメの分析ツールを5つご紹介したいと思います。

「強み」について

「強み」とは何か?

出典:ダイヤモンド社

「強み(strength)」とは一体何でしょうか?
強みについて語る上で欠いてはならないのが、マネジメントの父と呼ばれるピーター・F・ドラッカー氏の存在でしょう。

ドラッカー氏は、「強み」を経営やマネジメントに活かす重要性をいち早く提唱した人物です。
彼は、「強み」について著書でこう語っています。

「強みのみが成果を生む。弱みはたかだか頭痛を生むくらいのものである。しかも弱みをなくしたからといっても何も生まれはしない。弱みをなくすことにエネルギーを注ぐのではなく、強みを生かすことにエネルギーを費やさなければならない。」
『経営者の条件』(ダイヤモンド社)

そして、無数の組織と仕事をしてきたドラッカー氏は、組織の中で成果をあげる人とあげない人の差は才能ではなく、以下の3点であるといいます。

1)やるべきことを決めること
いわば、優先順位をつけ実行することと言い換えることもできます。
どれだけ効率が上がっても、それが結果に結びついていなければそれはやるべきことだとは言えません。

2)使命感を持っていること
つまり、「何のためにその仕事をしているのか」を心で理解していること。
そこに意味や意義がなければ、人の行動は長続きしませんよね。

3)自らの強みを活かすこと
最後に、独自の能力、強みを活かすことをあげています。
それは、指紋のように固有性の強いものであるべきといいます。

ここで注意したいのは、組織における「強み」とは、単なる「やりたいこと」とは別物であるということです。
もちろん、自分が得意で好きなことであることは良いことですが、「自己の強み、仕事の仕方、価値観からして、いかにして最大の貢献をなしうるか」という視点が強みを知るためのポイントなのです。

組織に貢献するためには、成果が必要とされ、成果をあげるには、強みを知り、それを伸ばすこと。
シンプルですが、会社や組織が、社会をより良くするためのものであると考えると、まさに真髄を突いた捉え方です。

ピーター・F・ドラッカー
米国の経営学者。マネジメント研究の第一人者。1909年、オーストリア・ウィーン生まれ。経営コンサルタントとして、フォーチュン500社に名を連ねる大企業のほか、美術館や慈善団体、協会、病院、小企業、大学、政府、大リーグ球団などの経営陣が抱える諸問題に50年以上取り組む。

強みを知ることが重要な理由

ドラッカー氏は、強みを知ることが必要な理由をこのように述べています。

人類の歴史において、ほとんどの人たちにとっては、自己の強みを知ったところで意味がなかった。生まれながらにして、地位も仕事も決まっていた。農民の子は農民となり、職人の子は職人になった。ところが今日では、選択の自由がある。したがって、自己の適所がどこであるかを知るために、自己の強みを知ることが必要になっている。
『ドラッカー経営論』(ダイヤモンド社)

今は、ドラッカー氏が存命だった時代とは比較にならないほど、インターネットによって世界が繋がりつつあります。
あらゆる情報を得られる昨今、個々人が直面する「選択肢」は間違いなく増えたと言えるでしょう。

前述した通り、「自分ができることで、もっとも周りに貢献できることは何か」を明確にしたものを強みと呼びます。
私たちは、誰かの役にたったり、社会に貢献していることを実感したときに幸せを感じる生き物であることが、幸福学研究で明らかにされています。

広く言えば、強みを知ることは、一人ひとりが自分らしく、幸せに働き、貢献し合い、豊かな社会をつくるために必要であるということが言えるのかもしれません。

オススメの強み分析ツール5選

組織のメンバーが、それぞれ「どういった業務に向いているのか」を理解することで、成果に繋がるマネジメントを実行しやすくなります。
ここでは、信頼できる実績と効果をあげているオススメの強み分析ツール(性格診断テストも含む)を5つご紹介いたします。

エニアグラム

http://communication-lab.net/


「エニアグラム」とは、ギリシャ語で「9つの地図」を意味します。
エニアグラムは、人間の本質と動機を9つに分類し、 そのパーソナリティを的確に知ることができるツールです。
そして、それぞれの資質と相性の良い資質を、上記の図を通して知ることができます。

以下が9つのタイプです▼

1)「改革する人」(THE REFORMER)
2)「人を助ける人」(THE HELPER)
3)「達成する人」(THE ACHIEVER)
4)「個性的な人」(THE INDIVIDUALIST)
5)「調べる人」(THE INVESTIGATOR)
6)「忠実な人」(THE LOYALIST)
7)「熱中する人」(THE ENTHUSIAST)
8)「挑戦する人」(THE CHALLENGER)
9)「平和をもたらす人」(THE PEACEMAKER)

NPO法人 日本エニアグラム学会が公開している『簡易タイプ診断』では、計90問の設問に答えるだけで、自分のタイプが推定できます。
もちろん診断結果は目安であり、個々の資質に優劣はありません。

それぞれが自分の資質に合った強みを互いに活かすことができるため、チームの人材配置に活用できるでしょう。

ストレングスファインダー

ギャラップ社が提供している「ストレングスファインダー」は、全世界で1800万人以上が使用している、能力診断の定番ともいえるツールです。

ストレングスファインダーは質問が177問あり、所要時間は30~40分程度ですが、テストは1問20秒以内で答えるというシステムになっていて20秒経つと強制的に次の問題へ進んでしまうので、時間と心をしっかり確保するようにしましょう。

診断結果は34種類のキーワードで分別され、その中からあなたの強みが5つ表示されます。

34種類の資質はこちらです▼

アレンジ、運命思考、回復志向、学習欲、活発性、共感性、競争性、規律性、原点思考、公平性、個別化、コミュニケーション、最上志向、自我、自、着想、調和性、適応性、内省、分析思考、包含、ポジティブ、未来志向、目標志向

なお、実際に診断するには以下の三つのやり方があります。

1)アクセスコード付きの書籍を購入して診断する

→画像をクリックすると、Amazonの購入画面に移ります。
書籍:「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0」 (日本経済新聞出版社)

2)ギャラップ社のサイトで直接アクセスコードを購入して診断する

→ギャラップ社公式サイトはこちら

3)スマートフォンやタブレットなどで専用のアプリをインストールして診断する

→App Store、GooglePlayにて、「CliftonStrengths™」と検索してみてください。

MBTI

https://www.ne.jp/asahi/village/good/jung.htm


MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は、スイスの精神科医であるカール・グスタフ・ユングのタイプ論に基づき、1962年に開発された歴史ある性格検査メソッドです。
世界30以上の言語に翻訳され、キャリアカウンセリング、リーダーシップ開発、チームビルディングなどさまざまな場面で利用されています。
その特徴は、単に「性格を診断すること」ではなく、「自分の心を理解し、 自分をより生かすための座標軸として用いること」を最大の目的にしていることです。

日本では、東京、新潟、名古屋、大阪、京都、福岡などの主要都市でセッション(詳しくはこちら)が受けられるようです。
一人あたり16,000円(税別)かかりますが、国際規格の認定トレーナーからの細かなフィードバックがあるようなので、かなり正確に診断ができると思われます。
(出典:日本MBTI協会公式サイト)

なお、「MTBI」と検索したときに出てくる「16Personalities」というサイトは、MBTIを公式に日本で提供する一般社団法人日本MBTI協会とは無関係のようですが、簡易的に試すのであればこちらもご利用されてみてはいかがでしょうか。

STRATEGIC MANAGEMENT KIT


ストレングスファインダーのように200ほどの質問により、徹底的に強みを見つけ出せるにも関わらず、無料であることが魅力的です。
ストレングスファインダーは有料の為、気が引ける…といった方にオススメです。

200問も質問があるということもあり、約一時間程度かかりますが、ストレングスファインダーのように急かされることはありません。
時間はかかりますが、課題発見能力、想像力、基本的思考力などそれぞれの項目に得点が出るだけでなく、フレンドリータイプや、アナライザータイプ、コントローラータイプなど自身のタイプを特性毎にカテゴライズして自分の性格を視覚化することが可能です。

ゆっくりと時間をとれる際に診断してみてはいかがでしょうか。

公式サイトはこちらです。

VIA-IS


米・VIA研究所が提供するこの診断ツールは、世界190カ国、260万人以上の人々に使用されたメソッドです。

強みは全部で24種類に分類され、そのうちトップ5の強みが「自分を特徴づける強み(Signature Strength)」とされています。
これらの強みを生活や仕事などで活用することで、人生の満足感や仕事の充実感が向上するという研究結果も報告されているそうです。
(出典:ポジティブサイコロジースクール)

トップ5の強みが無料で診断できるという点では、ストレングスファインダーとSKITの良いところを融合したようなツールといえるかもしれませんね。
設問は全部で120問ありますが、10〜15分ほどで終了することができます。

診断をご希望の方は、こちらから『VIA研究所』のサイトに移動し、使用方法に従い登録すると診断が可能です。

使用方法は以下の通りです。

1)上のリンクをクリックすると、対象サイトに移動します。
2)質問が英語で表示された場合は、オレンジ色の枠内で選択できる言語を「日本語」に変更してください。
3)氏名をアルファベットで、メールアドレス、パスワード(五文字以上)を記入し、性別、生年月日を選択して、「Register」(登録)ボタンを押して下さい。
4)「VIA・徳性調査票(VIA-IS)」の「Take Survey」ボタンをクリックして始めて下さい。全ての質問に答えるまでに約20〜30分間かかります。
5)質問の最後に、お住まい(またはお勤め先)の郵便番号を記入し、国を選択してください。
(VIAに関する継続受講に興味がある方は、その下に羅列されている科目で興味のあるものにチェックしてください。後日、VIA研究所から案内のメールが届きます。ただし、現在は英語のコースが中心です)
6)「Complete Survey」(診断完了)ボタンを押すと、次の画面に移動します。「Download Character Strength Profile」のボタンを押すと、日本語で24種類の強みが上位順に表示された診断結果が表れます。上位5つが「自分を特徴づける強み」と考えられます。必要に応じて、印刷して保存してください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

新入社員であれ、経営者であれ、誰もが独自の強みをもっています。
そして、組織が目指すのは、「全体として成果を生み出すこと」だとすると、いかにメンバーの強みを理解し、円滑にチームワークを形成できるかを考えることが大切だといえるでしょう。

本記事、本サイトが、新入社員の教育方法についてお悩みの方の一助になれば幸いです。
もし、新入社員教育についてお悩みのことがありましたら、新入社員研修の紹介を専門とする私共に、お気軽にご相談ください。

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